今年も軽井沢国際音楽祭に参加させて頂きました。今回はいつもと違い演奏会だけでなく講習会の方でもお世話になりました。ヴァイオリンの講師陣には日本でも有名な方々が名を連ねていらっしゃるのに、なぜ僕のような無名の者が呼んでいただけたのか。
それは音楽監督である横川晴児先生(元NHK交響楽団主席クラリネット奏者)の勇気ある決断があってのことだったのです。
先生は、良い音楽家になりたければ”専門技術”のみにとらわれているのではダメで、身体や心理、自己プロデュースなどについても学ばなければならない、と常日頃おっしゃっています。そんな様々な視点からの学びが実現できる場を、いつか軽井沢国際音楽祭の講習会で実現したいと常々考えられていたそうです。その目標を達成するための一つの実験材料として、僕に貴重なチャンスを与えてくださったのです。
このブログでも書いているとおり”身体と音楽との調和”というテーマが僕のライフ・ワークであり、最近になってこういった話に興味を持ってくださる音楽家の方々や音楽愛好家の方々が、日本でも少しづつ増えて来ています。大変ありがたいし嬉しいことです。しかし、まだまだ”いったい何のこっちゃ?””身体云々より、あまり考え過ぎずに、まぁとりあえず弾きこみましょう”という人が大多数だと思います。
今回、先生の直感により(というより一種の賭けかもしれませんが)ヴァイオリンだけでなく、チェロ、クラリネット、はたまたパーカッションにいたるまで、全ての楽器の生徒さんたちに僕との”身体と音楽との調和”のレッスンを体験してもらおうという、とっても珍しく画期的(・・・だといいのですが)な試みが行われたのです。自分個人の経験では既に歌手を含めた他の楽器の人たちとも何度もレッスンしてきましたが、こういった大きな講習会で”異種格闘技戦”のようなことをするのは初めての経験でした。
(つづく)