「姿勢」という言葉自体に対して、皆さんの持つ印象はおそらくそれぞれ微妙に違うでしょう。確認しておかなければならないことは、この言葉の意味するものには具体的な「肉体」に関する事の他に、物事に対する精神的な心構えとか「態度」というものも含まれているということ。また、多くの人達にはある種「止まった」イメージがあるように思いますが、動作を伴わない「姿勢」というものはありえないし、もしあるならばそれは洗練された「動き」を追求するためには邪魔になる可能性がある、ということ・・・

誰でも子供の頃、学校の先生やご両親に「姿勢を正しなさい」と言われた経験はあると思います。または「気をつけ!」とか。そして、その際になされた具体的な指導はおそらく「アゴを引いて」「背筋を伸ばして」「膝をのばして(またはそろえて)」「まっすぐ立って!」「ふらふら動かない!」・・・

多くの日本人にとってこれらの言葉は、何かを正しくしようと構えるとき、必ず頭に浮かぶものではないでしょうか。さらに言うならば、実は頭に浮かんだことを意識しそれについて具体的に考える前に、もう既に身体にはそれに伴う反応が、良くも悪くも起きてしまっているのです。

人に身体の感覚を言葉でつたえるのはとても難しいことです。なぜなら、当たり前ですが人は唯一固有の肉体を持っていますし、別々の経験から培った同じく唯一固有の身体感覚をもっているからです。そこにこそ人間それぞれの「個性」というものがあるのだと思いますが・・・ですからどんな言葉やメソッドにも、たとえそれがある時、ある個人の、ある一面に対して素晴らしい効果をみせるものであったとしても、別の場面ではまた違った問題を引き寄せてしまうリスクが常に伴うのです。

(つづく)

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