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 Hisaichi Shimura

~ Violinist

 Hisaichi Shimura

Monthly Archives: January 2014

聞こえない音

31 Friday Jan 2014

Posted by vnshimura in Uncategorized

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皆さんにとって「良い音」とはどんな音でしょうか?
「ヴァイオリンは人の声を目指した楽器である」などとよく言われます。前回のブログでは「音楽を演奏するということはストーリーを語ることである」という話をしましたが、ほとんどの楽器演奏は「歌う」ことを目指している、とも言えると思います。「語る」こと、または「歌う」こととは具体的にどういうことか?についてはいずれまた皆さんと考えて行きたいと思いますが、今回はそれらの重要な要素の一つである「声」つまり楽器演奏で言う「音」について考えたいと思います。

人の「声」には、語っている話の内容とは関係なくその人の身体の状態や使い方、心理的な状態など色々なものが現れるような気がします。良い声の持ち主は身体全体がよく振動し周りの空気をよく振動させることができ、その「声」はフォーカスしていながら自由で拡がりを持ち、また同時に様々な種類のカラーやダイナミクスを表現できる可能性を常に内在している・・・そのような「声」には人の耳を惹きつける何かがあり、説得力があり、時に人の心を豊かにし、またある意味人を幸せにできる力もあるのだと思います。そしてそれは楽器演奏における「音」についても同じことが言えると思うのです。

良い「声」または「音」のために必要になってくる最も重要なキーワード、それは「倍音」であると僕は思います。無論このことに注目した人たちは昔からいたわけですが、特に最近になって新しい書籍などでも、よりこの話題が目に付くようになって来た気がします。人々がそれを求めているということで素晴らしいことではあるのですが、それは逆に言えば私たちが長い間それを「失っていた」ということを示しているようにも思えます。勿論それは、そこに常に存在してはいたのですが・・・

もしかしたら皆さんの中にはこんなイメージを持っている方が多いかもしれません。「古い録音」または「古い演奏」というものは学術的、歴史的価値としては素晴らしいけど、いわゆる「古臭くて」「遅れた」もので「モノトーン」であり、現代の演奏の方が「進んでいて」「カラフル」で「華やか」であると・・・

数年前、日本のとある御宅で素晴らしい体験をしました。それはかつての巨匠たちの演奏を、ある貴重な蓄音機をとおして現在考え得る最高の環境で聞けたということです。それまでCDでしか聞いたことがなかったある演奏の中に、そこにあるのははっきり分かっているのだけれど微かにしか聞きとれなかった「音」の色彩感と拡がりが、その蓄音機によって見事にくっきりと再現されていました。今まで自分がデールやペドロ、その他の現代の希少な素晴らしい音楽家達から直接聞き学んできた、ある種の倍音を豊かに含む「音」に関する答え合わせができたような思いでした。やはりかつては、こういう「音」で演奏する人達、違った音の聴き方をする非常に優れた人達がいたのだと・・・

ペドロ・デ・アルカンターラ ②

14 Tuesday Jan 2014

Posted by vnshimura in Uncategorized

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ハイフェッツは常々生徒に言っていたそうです。「楽器を演奏する上でまず初めに注意を向けなればならないものは・・・」
みなさんなんだと思いますか?
それは「リズム」です。次に「トーン(音)」そして「音程」・・・その後その他の無数の事項。リズムに注意を向けるということは、何拍子で書かれた曲であるとか、それぞれの音符の正確な長さを知るという事だけではありません。書かれた音符群の中に隠れている「構造」と「抑揚」を見つけていく(あるいは創っていく)こと、いってみれば書かれた曲の中に「言葉」や「センテンス」を探して行くことです。

「音楽を演奏するということはストーリーを語ることである。」こんなことを言われたら皆さん戸惑うでしょうか?目の前にある膨大な音符は克服すべき音の羅列であり、機械のように正確に、全ての音を均一に捉える事だけが演奏だと考えるのとは大きな違いです。そこには、はっきりと見えるようには書かれていませんが「言葉」があり「センテンス」があります。言葉を話すことを含め、あらゆる人間の活動を駆動するにはリズム・パターンが必要で、そこには「準備」「強調」そして「解放」が存在しています。アルカンターラ氏はプロソディ(韻律学)のアイディアを使って音符のグルーピングや方向性を捉え、それを通して音楽を理解し、また演奏する上での「良い身体の動き」と同期させて行く方法を示してくれてます。

かつての優れた音楽家達はこのような事を当たり前のように理解し、演奏していたように思います。ハイフェッツ、カザルス、ルービンシュタイン、リパッティ、プリムローズ、シュターカー・・・
僕が学生の頃はニューヨークにはそういうことを教えてくれる巨匠がまだ何人もいました。かつてカザルスと何度も共演していたベーシスト、ジュリアス・レビン先生。ナタン・ミルシュタインやジノ・フランチェスカッティなどから絶大な信頼を置かれていたピアニスト、レオン・ポマーズ先生など・・・毎週当たり前のようにレッスンを受けていたその頃はその有り難みが分からなかったのですが、今思えばとても幸運なことだったのだと思います。いつの頃からこのような視点で楽譜を読み、音楽を聴き、感じられる音楽家が減ってしまったんでしょうか・・・その議論についてはいずれまた。

アルカンターラ氏とのレッスンは毎回視点が新しく、音楽的で、クリエイティブで素晴らしいものです。彼のレッスンで扱うサブジェクトはもちろんリズムだけでなく(何を学ぶにもこれなしでは話が始まりませんが)「倍音」を含めた音の話など、到底ここでは語り尽くせません。しかし常に一貫している主題は、自分は一つの総合体で分けることは出来ないこと、また重要なことは世の中のあらゆる状況に対し(その状況自体を変えようとすることよりも)自分がそれにどう反応し、判断し、(次の行動を)選択するかである、ということのような気がします。
最後に、アルカンターラ氏は彼の著書 ”Integrated Practice”の中でこのようなことを言っています。「リズムとはコーディネーションである、コーディネーションとはパーソナリティーである、つまりリズムとはパーソナリティーである・・・」

変化すること

09 Thursday Jan 2014

Posted by vnshimura in Uncategorized

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楽しかった年末年始の日本滞在を終えニューヨークに戻ってきました。着いた日は摂氏10度もあったのに次の日はマイナス13度!街中もサブウェイも着膨れした人たちでいっぱいです。いつも日本から帰ると思いますが、気候に限らずニューヨークのこの「変化」の多様さ、そのエネルギーの大きさ、自由さが僕は好きなのだと感じます。

人が「成長する」とはどういうことかと考えた時、やはりそれは「変化する」ことなのだと思います。さらにそれは僕にとっては「生きる」ことと同義です。人は、自分は変わるのだと決め、今まで持っていたものを捨てる決断をし、また本当に良いものを目指し続ける限りいつでも、どこでも成長できるのだと思います。

ある新しいアイディアに出会ったとき、例えばより良い身体の使い方、より良い楽器の構え方、より良い音楽の捉え方、より良い音の聴き方・・・それにも関わらずそれを身につけられないと感じた時、それはその人が「自分は変わりたくない」と言っているのと同じことなのです。「変わる」のか「変わらない」のか。成長したいと思ったら自分が変化することをまず決心し、受け入れること。全ては自分で選択するところから始まるのです。

ペドロ・デ・アルカンターラ

03 Friday Jan 2014

Posted by vnshimura in Uncategorized

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アレキサンダー・テクニーク(以下 AT)はオーストラリア人で舞台俳優であったフレデリック・F・アレキサンダー氏が100年以上前に、舞台で突然声がでなくなってしまうという自らの症状を克服するために開発したテクニークです。このテクニークのもつ普遍性を考えると、彼によって「発見された」と言ってもいいかもしれませんが。後にイギリスに渡りさらにテクニークを発展させ沢山の生徒を指導し、またATを教える教師を育てるための学校を作りました。教えを受けた生徒の中には俳優をはじめ、ダンサー、音楽家、さらには学者、作家、医師などあらゆる分野の人達がいました。そして、それぞれがATの理念やテクニークを自分の専門分野の探求に生かして行くことになるのです。

ATを学ぶ際はじめに覚えておかなければならない基本理念はそう多くはありません。どんな人間でも自分がしていると思っていること、と実際に自分のしていることの間にはギャップがある可能性が高いということを知ること。物事のプロセスに着目せず、結果を性急に求めすぎる事が間違った自分の使い方(に限らず世の中のあらゆる事に言えると僕は思いますが・・・)の全ての始まりであること。それを改善し学習し直すには、今自分が「正しい」と思ってしているこ一旦やめなければならないこと。そして次の動きを始める前に、マインドを使って新たに方向付けをしなければならないこと・・・

たとえ専門分野が違っていても、真理を知っている人からは多くのことを学べるものです。むしろ枝葉にあたる情報(専門知識)に惑わされず大事なことを学べるチャンスは、より大きいかもしれません。アルカンターラ氏はATの教師であり、チェリストであり、音楽家であり、芸術家であり、常に「自然」から学び、変化・成長を続けている素晴らしい人間です。

ATの教師にも色々な考え方の人がいて、そのアプローチの方法は千差万別です。ある教師は身体の骨格や筋肉の構造を詳しく意識させることを最重要と位置づけ、またあるものはイメージの力を最重要とする。つまりアレキサンダー氏という一人の天才が発見した基本理念は普遍のものなのですが、何を最も大事なことと思うか、またはそこへ至るためのアプローチがそれぞれ全く違うのです。バッハという天才が書いた曲をどんなに学術的に「正しく」解釈したといっても、人の身体を通して演奏する限り身体の数だけ固有の「バッハ」が表現され、一つとして同じものが存在し得ないのと同じことです。

アルカンターラ氏からATのレッスンをとおして僕が学んでいることは、ATの基本理念についてであり、音楽についてであり、自己の使い方についてであり、それらをヴァイオリンの演奏やレッスン、さらには自分の生き方に生かすことです。そして何より重要なことは、それらの全ては一つの総体であり分けることはできないということ。言い方を変えるなら、例えば「良い」音楽のリズムやフレーズなしに良い身体の使い方は存在し得ない、ということなのです。

あけましておめでとうございます!

01 Wednesday Jan 2014

Posted by vnshimura in Uncategorized

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昨年は思い切ってブログを始めましたが、
自分自身の成長のために本当に良かったと思っています。
書くことでより深くそれぞれのテーマについて考え、
新たな発見することもありますし、
なにより自分の持っている情報について、
自分が本当に理解しているのかそうでないのかがはっきりするからです。
これからも少しずつ更新をかさねていき皆さんと一緒に成長していけたら、
本当に素晴らしいことだと思います

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

志村寿一

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